できないKJ

言語聴覚士(療育)

感覚過敏と感覚鈍麻の共通点

 

感覚過敏・鈍麻とは

過敏にもいろいろある。例えば、普通の人が気にならない音に対して不快になる(聴覚過敏)、普通の人が気にならない材質の違いで不快になる(触覚過敏)などが代表的だろうか

鈍麻とは逆に普通の人が気になるとか不快になるほどの刺激に無関心(あるいは心地よく感じる状態)であることだ('ω')ノ

 

アンダーラインを引いてある場所が重要なので、あえてこの説明の仕方にしたのだが、要は【社会の中で大多数が感じる感覚との差が激しい状態】といえる。

 

感覚刺激の社会的な感じ方を身に付ける

実は、私たちは大抵の場合、養育者との関わりの中で、それぞれの感覚刺激が社会的に持つ意味を理解しながら成長していく。次のやりとりを見て見よう( `ー´)ノ

 

(生後3カ月の乳児への母親の関わり)
乳児「オギャー(激しく泣く)」

母「うんち出たのかな~(確認して)あぁ出てたね。うんち出て気持ち悪かったねぇ

乳児「オギャー」

母「(拭き終わって)うんちキレイキレイしたよ。気持ちいいねぇ」と服を着せようとするが「服ちょっと暑かったかな涼しいのにしよっかぁ」と別の服に着替えさせる。母「服変わってよかったねぇ。風が通って気持ちいいね(^_-)-☆

 

乳児が言葉を話さないからといって、母親の独り言だと侮ってはいけない。赤文字で書いた部分だけを見ても、母親がいかに一つ一つの身体感覚に社会的な意味付けをしているかがわかると思う。乳児の頃からこのような働きかけの元で育てられることで、多くの子は感覚の社会化ができるんだ(^^)/

 

しかし、知的障害やASD自閉症スペクトラム障害)の子では、母親が同じように接していたとしても、この(身体感覚の)社会化が遅れてしまう。そうなると、この子たちは社会的な意味を理解できないまま自分の感覚だけで未知の世界と向き合っていくことになる。一般の方と反応が変わって当然なんだよね。

 

KJの体験談

小学校3年生の時、私にはお気に入りの服があったんだ→赤いトレーナー

真夏のある日…

 

先生「お~いKJ君!みんなが半そでなのに何でそんなに暑苦しい恰好してるの?」

私「??(実はこう言われるまで、周りの人の服装を気にしたことがほとんどなかった)」

先生「暑苦しいから脱ぎなさい」これが結構高圧的な先生だったんだよね(汗

私「いやです。」(お気に入りの服だし、肌を見せるのが嫌だった)

先生「いいから、脱ぎなさい!」怒り出して、私の上着を脱がせた。

 

 

 

先生「ん??」脱がせると、私はトレーナーの下にロングTシャツを着ている。先生は驚愕の表情を浮かべながら「KJ君は何枚着てんの?」

クラスで笑い声が起こった。先生も怒りを通り越して呆れてしまったらしい。

先生「とりあえず、これも脱いどこうか」

私「いやです。」(肌は見せたくなかったんだよな)

先生「まぁまぁ」と脱がすと、下に柄付きのTシャツ 

 

先生はそこで止めたが、実は私はさらに下にランニングTシャツを着ていたのだ(゚∀゚)/

 

勝ったな(^_^)v

 

 

とまぁこんな感じで私自身、身体感覚の社会化が遅かった方だけど、今は(上のような)経験を重ねて来た中で周りの人に目が向くようになって、ある程度身に付いたんじゃないかなぁ

 

だから、養育者は諦めずにぼちぼちと働きかけ続けることができれば、寛解していく可能性はあると思います。