できないKJ

言語聴覚士(療育)

【むせる】と【つまる】は違う

私の職場では、専門的には非常に有難いことに、毎日こどもたちの食事を見ることができる。様々な疾患や発達障害を持つこどもたちの食事場面である。時にヒヤッとすることもある↓↓

 

食事中に激しい咳き込み

(KJが食事介助している横で声が聞こえてくる)

保育士:Aくん、大丈夫(; ・`д・´)??

Aは顔を真っ赤にして咳き込んでいる。保育士は動揺しつつ、Aの背中をたたく

…とここでKJが(゚Д゚)ノ慌てて参戦するのだぁ

私:何を食べて、こうなりましたか?

保育士:魚です。

私:背中はたたかない方が(汗)

保育士:えっ?そうなんですか??

 

そう。多職種が連携する現場では、こんなできない男にも出番があるのだ( ;∀;)。そして療育現場でよく見かけるのは、このちょっとした誤解だ。

 

【むせる】への対応

Aくんが魚を食べて、激しく咳き込んでいる状態を【むせる】という。食物が消化に向かう食道ではなく、空気の通り道である気管に入り込みそうなときの防衛反応である。

この場合、「咳をしている=気道が完全には塞がれていない」。そしてA君の身体は、咳によって気管に入り込みそうな食物を吐き出そうとしている状態といえる。このむせている状態の人の背中をたたくのは良くない(;_:)。咳き込んで吐き出そうとしている呼吸のタイミングがずれてしまったり、かえって気管に入り込んでしまったりするからね。だから

①咳で吐き出しやすいように、やや前傾にして咳き込んでもらう。(真似ができるくらい認知がしっかりした人であれば、隣で保育者や介助者が実際に強く咳き込むことで真似を引き出せることがある。)

②本人が咳き込んでいる間は、たたかないで待つ

が対応の基本となる。

 

【つまる】への対応

もし、咳き込みもなくなり、苦しい状態が続いている場合は緊急時の対応が必要である。

www.youtube.com

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この動画のような対応は本当の緊急時で、ちょっとむせたぐらいで行うものではないことを確認しておく。本人が自力で吐き出すことが不可能な状態に陥ってしまったら、このYouTubeの動画のように背中を叩いたり、みぞおちあたりを突き上げる対応に移ることになる。そう、気管につまった場合はかなり強い力で背中をたたく必要がある

 

命を守る場であるが故の誤解

保育士に限らず、福祉の現場で働く方は救命措置を勉強する機会に恵まれている。しかーし、ちょっとしたむせへの対応などを学ぶ機会はなく、教えられた救命措置を基準に対応している。ここにちょっとした誤解が生まれているんだと思うな(@_@)

 

 

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