療育で対立する二つの考え方
対立する二つの立場
療育には大きく二つの立場があると考えている。簡単に言うと…
❶子どもを取り巻く社会の側を、子どもに合わせていく立場
❷子どもの側を、既存の社会に合わせていく立場
前者❶は社会に「変われ」と叫び(?)、後者❷は障害を持った児に「適応せよ」とプレッシャーをかける(?)。我ながら、表現が迷子。
具体例~自閉症スペクトラム障害の場合~
理論なんか見ても分かれているよね。例えば、自閉症スペクトラム障害の支援で用いられることが多いTEACCHと太田のstageの考え方の違いがそれ。
TEACCHはアメリカのノースカロライナ大学の教授らが始めた、自閉症とその家族を支援するためのプログラム。TEACCH関係者に怒られるぐらい簡単にいうと、
自閉症スペクトラム障害の人は想像力を働かせることや目に見えないものを理解するのが苦手だから、目に見える形で整理して伝えてあげることで生きやすくなるよねぇっていう態度
対する太田のstageは東京大学医学部附属病院精神神経科小児部が自閉症の児の認知発達の特徴を踏まえて考え出した治療理論。これまた、太田のstage関係者が憤慨するほどざっくり言うと、
自閉症スペクトラム障害の人の情報を処理するレベルに合わせて課題を設定。課題に取り組んでいくことで(スモールステップで)情報処理能力を伸ばしていこうぜっていう態度
TEACCHでは、療育現場間での引継ぎを重要視し、継続的に支援していくことを目指す。ここではできるけど、次の学校では0になってしまうと意味がないからだね(^_-)-☆
太田のstageでは、支援の結果達成してこれで良しとはせず、慣れてきたら少しずつヒントを減らしていく。社会に出たらヒントなしっていうのを前提にしているね(*_*;
それぞれのメリット・デメリット
❶のメリット
・こどもにとっての負荷が少なく、自発的な行動につながりやすい
・適切な支援の仕方を周囲が理解できる
・こどもを取り巻く社会の中で連携が生まれる
デメリット
・こどもがストレス耐性を身に付けにくい
・こども自身の力で行うこと、支援を受けながら行うことの線引きが難しい
・施設や教育機関同士で連携がとれない状態では、支援の効果が振り出しに戻る
❷のメリット
・こどもがストレス耐性を身に付けやすい
・関わる大人にとって、こどもに何をさせれば良いか分かりやすい
・対象児と個人的な関わりの中からでも実践できる
デメリット
・こどもにとっての負荷が強く、自発性を抑えてしまいやすい
・実践する大人の成長志向が強くなり、こどもの状態をありのまま受け入れられなくなる
・取り巻く社会と当事者との距離が縮まらない
どちらにもメリット・デメリットがあり、結果私の様などっちつかずな状態になりがち、笑